人材の有効活用法のひとつに「出向」という制度がありますが、出向には「在籍出向」と「転籍(移籍)出向」の2種類があります。
在籍出向は出向元の社員の身分を残したまま他社で就労する形であり、出向元及び出向先の双方とそれぞれ雇用関係が生じます。
転籍(移籍)出向は出向元との雇用関係は終了しますので、出向先についてのみ労働基準法等の適用があります。
在籍出向の場合の労務管理については、「出向元、出向先および出向労働者三者間の取り決めによって定められた権限と責任に応じて出向元の使用者または出向先の使用者が出向労働者について労働基準法等における使用者としての責任を負う」(昭61・6・6基発第333号) とされています。
例えば労働時間・休日・休暇等については出向先の規定を適用し、出向先で管理するのが一般的で、給与に関しては出向元の規定を適用するケースが多いようです。なお在籍出向中の社員はその間出向元では休職扱いになります。
社会・労働保険については労災保険は出向先の労働者として取り扱われますが、雇用保険・社会保険(健康保険・厚生年金保険)は賃金支払いが出向元なら出向元で継続して加入するのが通常です。